1973年のピンボール 村上春樹
「哲学の義務は」と僕はカントを引用した。「誤解によって生じた幻想を除去することにある。……配電盤よ貯水池の底に安らかに眠れ」
……二十五歳、引退するには悪くない歳だ。気の利いた人間なら大学を出て銀行の貸付係でもやっている歳だ。
ピンボール スペースシップの悲劇。ギルバート社。
一番好きなのは、失踪したピンボールを探すところ。ある日ゲームセンターはドーナツショップにかわり、僕は他のゲームセンターを探しまわり、ピンボールマニアを紹介される。僕が探していたピンボールは珍しい形で、マニアは色々探して見つけてくれた。そして潰れた養鶏場の倉庫はピンボールマシンの墓場で、そこで探していたピンボールを見つける。
村上春樹の、あるものをアナログに探して見つけるエピソードがとても好きだ。