範馬刃牙とユング心理学と仏教
ユング心理学と仏教 (岩波現代文庫 〈心理療法〉コレクション V)
- 作者: 河合隼雄,河合俊雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/01/16
- メディア: 文庫
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ユング心理学といえば刃牙を思い出す。刃牙の父、範馬勇次郎は地上最強の生物である。彼が生まれた時、世界各国の首脳は同時にテレパシーのように危険を感じ、核武装に踏み切ったという。このテレパシーのような共時的な意思の発露をシンクロニシティという。
ユング心理学の権威、河合隼雄さんの講演をもとにした本。
河合さんが心理学者になった理由が面白い。戦時中子ども時代を過ごしたそうだが、軍国主義にはまったく馴染めなかった。そのことを医師の兄に手紙で相談すると「好きなことで国に貢献すればいい」と返事が来た。やっぱり頭のいい人達の方が柔軟な思考ができるのかなあ。
それで河合さんは戦後数学教師になる。そこで生徒から青春特有の悩み相談をよくされるようになる。必然的に心理学を学ぶようになり気がつけば心理学の講師になっていたそうだ!すご過ぎる…
軍国主義を嫌悪する影響で日本的な価値観に否定的になっていた。しかしアメリカへの留学で仏教に出会う。無意識を理解するプロセスと仏教の悟りに至るプロセスの相似を発見する。十牛図に似た絵を描くクライアントもいるほど!
精神病の治療は、医師が直してあげるという一方通行ではなく、共に禅問答を解く修行僧のごとくである。
でも、精神病院とかに「ユング心理学!」などデカデカと聞かないし、現在のユング心理学ってどうなってるんだろう?あんまり身近に感じないなぁ。