えっ地方でも消耗してるの?

東京どころじゃないんだよ!

走れメロス

太宰治の短篇集「走れメロス」を読みました。
1つずつ感想書いてみます。

ダス・ゲマイネ 話の途中で太宰治本人が登場する。その人物描写が辛辣で他の登場人物にも嫌われていた。いやなことばかり言うので馬場という男に殴られてた。馬場の提案で太宰と佐竹と佐野(主人公)で同人誌(もっと真面目な方の同人誌)を作る計画をたてるけど、太宰が嫌味ばっかり言うので頓挫する。太宰や馬場がおかしなことばっかり言うので佐野は混乱して町に飛び出し、電車にひかれて死んで終わり。佐野が死んだことを聞いた馬場たちは、文学的なセンチメンタルに浸って物語はおしまい。わけわからん。

富嶽百景 高校の授業で読まされたなぁ!太宰が山梨の、富士山がよく見える宿に行って、井伏鱒二に会う話。冒頭の「富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晁の富士も八十四度くらい」って浮世絵の広重と文晁のことやったんだね。今はネットですぐわかるから便利だね。井伏氏と二人で富士の眺めがいいところに行くんだけど、あいにくの霧。そこの茶屋のおばあさんが晴れた日の写真を持ちだして、それをかかげて「晴れたらこんな感じですよ」ってシーンが良かった。太宰が「いい富士を見た」っていうのもわかる!最後のシーンは二人の娘さんに富士山をバックに記念撮影を頼まれるところだ。でも太宰はふたりの「ケシの花(二人の女をケシの花に例えるところとかが学校の問題とかに出されるんやろうなぁ)」をレンズの外に押しやって富士山だけ撮ってしまう。太宰治おちゃめやな!!!!

女生徒 女生徒の一日を女生徒のことばで綴った短編。乙女チックやなぁ。いいことばがあって「花の美しさを見つけたのは人間だし、花を愛するのも人間だもの」とてもいい文ですね。

駆込み訴え イエスを裏切ったユダの独白。パンを大勢に配った話が聖書にあるんだけど、本当はユダがいろいろ裏でやりくりして大量のパンを用意したとかになってる。あんなインチキやろう生かしておけぬ!とか言ってておもしろい。でもユダはイエスの美しさを愛していて、でもイエスのインチキさも知っていて、ユダによれば、イエスはもう死にたがっていて、それをユダが察して殺すとかどうとか。お前を殺しておれも死ぬ!っていうありがちな展開を聖書でやるってすごいね。

走れメロス 高橋は激怒した。必ずかの邪智暴虐の教育システムを除かなければならぬと決意した。高橋にはいろいろわからぬ。高橋は、三流の学生崩れである。ろくろをひき、ほんと遊んで暮らしてきた。そう。これを美徳として小学生に教え込むのってどうなの?血を吐いてでも物事を成すなんて馬鹿らしい。無理はよくない。そうやって無理をして死んだり人生を台無しにしたりしている人は多いのでは?メロスは処刑に間に合ったけどほとんどは間に合わないんじゃないのかな??小学生には人間失格を読ませるべきだ!!!!

東京八景 「晩年」執筆のきっかけやその当時の陰鬱なことが書かれている。情死事件のあと二度も自殺未遂してるんやでこの人!で、脳病院に入れられて廃人みたいになってたけど、身内がたくさん死んだのがきっかけで生きることを決意したようだ。

帰去来
故郷
ほとんど勘当されてから十年経ち、ある人達の世話で実家に帰省する話。気まずそうである。お父さんはもう死んでるんだけど長男が許してくれないとかで帰りづらかったんだって。母の危篤で帰った時に「今泣いては芝居だ」って言って一滴も泣かなかったそうだ。

感想書こうと思ったけどほとんど作品の紹介ですね。太宰治の好きなところは「おれクズやしあんま立派なところに顔出したくないねん」っていう卑屈なところ。